中東の変化とサンデル教授の授業と慶応大学の授業

中東で起きている大きな変化と、マイケル・サンデル教授の授業と、慶応大学大学院の白熱教室について。


チュニジアやエジプトでの独裁体制の崩壊、これをだめ押ししたのは独裁者側が、軍隊や警察を使って暴力で国民を抑圧しようとし、そのためかえって崩壊を促進してしまったように見えた。
そしてまた、リビアでは傭兵を使って平然と自国民に暴力を振るっている。リビア政府内部からも、世界からも、この暴力は非難されている。その上,虐げられてきた人々はかえってパワーを増す結果になっているようだ。


マイケル・サンデル教授が民放に招かれ、たけしさんの番組で授業を行った。印象に残ったのは一人のスパイを拷問してでも5人の拉致被害者を助けるかという質問に対する2人の政治家の解答。
実を言うと、放送を見た時は私も同じ意見を持っていた。「5人を救うためなら、拷問してもいいのではないか。」


でも、今は気持ちも意見も変化した。なぜなら、エジプトの政変時に秘密警察に捉えられた若者のインタビューを聞いたからだ。

彼は、「捉えられている間、拷問があった。拷問を受けている声が聞こえてきた。女性にも拷問していた。」とつらそうに述べた。暴力で解決する方法論を選択するのは、秘密警察と同じ者になるのではないのか。


私は2人の政治家に良い印象を持っていたけれど、現時点は抑制が利いているとしても、尊敬できる人格の人だとしても、何かのきっかけで考え方が変化し抑制できなくことの可能性は、ゼロではない。


手に入れた力を間違わずに使うためには、人はいつでも、どんな時でも、深く考えていなければならないなぁと、強く思った。


今、白熱教室の名を冠して日本の大学での講義をNHKが放送している。
慶応大学で経営を学ぶ人たちに向かって、教授が最後に言っていたのは、「レイオフをしなければならない時がチャンスだ。レイオフでは少し多めに首を切る。つまり常日頃から機会があったら首を切るヤツを、チェックしておくのだ。」と、、、。
教授は、「アメリカのある経営者から直接『ハル、じつはね。』という形で聞いた」と、伝聞の形で学生たちに伝えていた。
が、サンデル教授なら「これに対する反論はあるかね?」と聞くのではないのか。
強欲資本主義に、世界が落ち入ってしまった原因の一端が、実はMBAたちの学びの中にあるのではないだろうか。
そういえば竹中さんも慶応大学の教授だっけ。


「う〜む。」とうなって考えてしまう今日この頃である。